否定よりも肯定へ、そして…

≪ナラディブとは 要約≫

 施術者とクライエントは人間として平等で対等であるという認識に基づく。施術者の役割はクライエントとの対話によって新しい物語を創造することとなり、セラピーの目標は、問題を解決することではなく、新しい物語・解釈による新しい意味を発生させることによって、問題を問題でなくしてしまう、ということに置かれる。

 科学的根拠(エビデンス)に基づく医療・医学は1990年ごろから提唱されるようになりました。これらは迷信や科学的根拠のない医療行為をできるかぎり少なくし、より合理的で科学的な、多くの人にとって役に立つ医療を目指す目的をもっていました。

 しかし、良かれと思う治療であっても患者の満足度が低く、コミュニケーションがスムーズに行われないことがあります。ナラティブはそうした状況を改善するカギになる可能性があって、注目されはじめました。

 ナラティブに基づいた医療NBM(Narrative Based Medicine)とは次のようなものをさします。つまり、医療機関を受診する患者は、痛みなど具体的な症状のほかに、受診したほうが良いと考えるにいたった気持ちや、治療への期待といったものがあるはずです。こうした気持ちや期待は、患者自身の、これまでの人生や考え方、信条が関係しています。検査データや診察結果だけでなく、こういった患者の心の奥深くからの語りを医療者側は真剣に受け止め、対話をして、それを深めることによって問題の解決を図ろうとする医療、これがNBMです。


≪療術的ナラティブ≫

 器質的疾患:内臓や神経、筋肉、器官といった各組織において病理的・解剖的な異常が生じた事により引き起こされる疾患・疾病の総称

 機能的疾患:体の組織等において解剖学的・病理的な異常が見当たらないにも関わらず、臓器や器官などの働きが低下する疾患を指す。

 療術を含む民間療法を頼ってこられる方は、機能的疾患(心身症含む)の方が多いと思います。医療機関などで検査を行っても異常が認められない、原因が分からない等、カラダが辛いのにデータ状は異常がないので原因不明とされ神経内科への受診なども進められる場合があるようです。

 エビデンス(科学的根拠)も大事ですが、クライエントの物語を聞くことが施術の参考に役立つことが経験上非常に多いです。不快なところの症状緩和も大事ですが共に新しい物語を構築していくことが、今後の民間療法に必要になってくる分野だと感じます。

コミニュケーションにも良いコミュニュケーションと悪いコミュニュケーションがあります。

≪良いコミュニュケーション≫

 相手の話を自分の価値観などで判断せずに正しく聴く、相手の言い分をまず受け止めることからスタート。それから、自分の話したいことを伝え合います。

≪悪いコミュニュケーション≫

お互いに自分の言いたいことだけを話す。自分が話そうとしているのに遮ったり否定したりする。

 クライエントが話をすると施術者は耳を傾けますが、核となる部分の内容で施術者の主観が構築され症状状態に結びつける傾向があります。それは、明らかな外傷などには適応できるのですが、慢性的な痛みや症状には当てはまらないことも多々あります。

 1回の施術でクライエントの物語を全て聞き出すのは不可能に近いですが、今までの経過(社会的環境など)を語っていただけるには、信頼関係が構築できなければ無理です。

 施術者とクライエントの二人三脚で、新たな物語を展開していくのも重要です。

療術的ナラティブを実践する上でのポイントは、クライエントとの信頼関係構築しながら物語りを語って頂くことです。初回に来院されたときに施術者はどういった態度で挑むかで、クライエントがどう思うかが重要です。

 特に、民間療法へ来られる方は、巡り巡って来院されます。自分自身の状態についてはネット情報などで詳しく調べられている方も多いです。カラダの歪みをキーワードとして、全て歪みのせいだけでは問題の解決にはならないです。それらに至るまでの物語を語って頂くことがキーポイントになります。

 施術者はクライエントが語り出したら、遮らずにさらに語りを誘導していきます。関係の無い話などと思えても、いちいち「そういう話ではなく…」などと言わないで、「なるほど、~ということですね。それで?」と聞いくことが大事です。

 今ある状態が如何に形成されたかとクライエントは、物語の内容を紆余曲折しながら理解してもらおうと真摯に語ってくれます。そこで遮ってしまうと信頼関係の構築が崩れ去ってしまいます。

奈良県天理市/藤井療術院「美と健康を探求」

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